「急がば回れ」
施策立案1年目では、特に意識することです。
現状把握ができたところで、次は現状からありたい姿に近づけていくための施策の立案をおこないます。施策は具体的であるほど、推進者は目的意識をもって取り組みやすくなりますが、施策の意図が充分に伝わっていないうちに、数値目標を設定した施策を推進すると、形だけの活動で終わってしまう可能性もあります。
最初のうちは、施策の立案において、組織風土改革の意図をきちんと浸透させていくことを重視させつつ、徐々に施策の具体性を高めていく流れが重要になります。
具体的な内容
- ありたい姿を実現するための施策を考えること
- 施策は「横断的な施策」と「部門別の施策」に分けて考える
- 施策実行にかかる負荷と実現可能性の評価
- 部門別施策の推進者の決定
- 現実的なリソース配分の決定
- 施策を推進する上での環境整備
横断的な施策
風土改革の方針に基づいて 、事務局または当該施策の主管部門(経営企画部・人事部など)が実施すべき、会社全体にまたがる施策のこと。
部門別の施策
全体の風土改革の方針に基づいて実施すべき、各部門が自部門の風土改革を進めるために実施すべき施策のこと。
プロセス
STEP
施策案の列挙と分類
- 「現状」と「ありたい姿」を踏まえて、施策案を列挙する
- 施策案になりうるヒントは、ありたい姿や現状の議論の際にも出されていると思うので、それを見返しながら案を出すこともよい。
- 出された施策案において、「できるのに、したくない施策」の部分に厚みが出るように修正する。
- 「横断的な施策」と「部門別施策」に分類する。
- 各施策の実施期間を決める。
STEP
横断的な施策の具体化
- 施策の優先順位付け
- 事務局における役割分担(主管部門に渡した方がよさそうな施策はその手配)
- 施策の具体像(アクションプラン:スケジュール・マイルストーン)の設定
STEP
部門別施策の方針
- 部門別施策は、部門ごとに異なるため、具体的な施策にすることは好ましくなく、概要として策定
- 必要リソースの見積もり
- 各部門の受容性確認
- 阻害要因の特定
- リスク評価
STEP
部門長説明と部門ごとの推進メンバーの確認
- 幹部を中心とした関係者への説明・調整
- 部門別施策の推進リーダーを決める
- 部門別に施策の具体化作業(部門による取り組みの温度差を一定の範囲に収めるため、テンプレートを用意する)
STEP
実行環境の整備
- 推進体制の確立
- 意思決定プロセスの明確化
- 評価・モニタリング方法の設計
- 必要なツール・仕組みの整備
施策立案と実行環境の整備がうまくいくポイント
- 現場の実行力を考慮した、身の丈に合った施策設計
- 部門間の利害調整の十分な実施
- 小さな成功体験の計画的な創出
- 進捗状況の可視化と共有
- 臨機応変な軌道修正の仕組み
施策立案と実行環境の整備において、よく起きる問題
- 効果達成を急ぐあまり、施策の難易度・具体性が現状からかけ離れすぎていて、実行難易度が高すぎる。
- 取り組みに対する信頼感を確認せずに進めるがあまり、形だけの活動になってしまう。
- 各部門の施策実行の温度差が違うことを気にしすぎて、温度差を埋めることに執心しすぎる。
- 施策を柔軟に修正することを許容しない。
- 上位職ほど本気度が低い。
支援(コンサル)の役割
- 施策設計支援
- 具体的な施策案の検討・提示
- 実行計画の策定支援
- 他社事例の共有
- 実現可能性の評価
- 調整機能
- 部門間調整の促進
- 経営層との合意形成
- リソース配分の最適化支援
- 実行部門との対話促進
- 仕組みづくり
- 推進体制の設計支援
- モニタリング方法の確立
- 評価指標の設定支援
- 報告・共有の仕組み構築
- 実行支援準備
- 各部門推進リーダーへの説明会準備
- リスク対応策の検討
- コミュニケーション計画策定